東大門で会談取材
地球だより
来週、北朝鮮の平壌で行われる南北首脳会談の取材は現地同行できない多くの居残り組のためにソウル市内に臨時プレスセンターが設けられる。場所は4年前に完成した「東大門デジタルプラザ」という流線形の施設だ。過去の会談で貸し切られたホテル大広間や大型展示場と違い、今回は「過去と未来をつなぐ象徴的な空間」(大統領府)になるそうだ。
東大門は朝鮮王朝時代(1392~1910年)の漢陽(現ソウル)を囲んだ城壁「漢陽都城」の東西南北端に位置した4大門のうち東側にあったもの。プラザ近くは朝鮮王朝時代の軍事施設「訓練院」の跡地で、ここではかつて「武」に関する各種試験や教育、軍事訓練や武器製作が行われたという。首都を守る軍事の要が東大門にあったわけだ。
城壁は日本の統治期を経て朝鮮戦争(50~53年)で大半が損壊したが、その後、復元された。北からの避難民が定着してできたアパレルの卸売市場「平和市場」は今もあり、現在は特にデザイン・ファッション業界のメッカ的存在で、外国人観光客を含めここを訪れる人たちで夜通しにぎわう不夜城でもある。
「軍事要衝からファッション街」への変遷を南北の「対立から平和」に重ねるのが今回のプレスセンター設置の趣旨ということになるが、北の非核化意志が怪しい中で果たして本当に平和を引き寄せられるのか。しっかりこの目で確かめたいと思う。
(U)