ある「保守系」紙の気になる論調


地球だより

 韓国の新聞市場では「中央日刊紙」と呼ばれる新聞11紙などが中心となってしのぎを削っているが、人口約5000万にしては明らかに飽和状態であるし、近年はスマホに押され各社軒並み部数を減らしている。それでもまだ存在感がある新聞と言えば、発行部数の多い保守系3紙の朝鮮日報、中央日報、東亜日報だ。部数の多い順に略して「朝・中・東」と呼ばれる3紙のシェアは11紙の6割に達し、影響力で地上波テレビにも負けていない。

 ところで、このほどその一角を成す中央日報の論調が「おかしい」という指摘がなされ、ちょっとした波紋を広げている。同紙の北朝鮮問題に対するスタンスがリベラル紙に近く、とても保守系とは言えないというのだ。元社主が北朝鮮訪問などをきっかけに論調を変える決心をした証拠が見つかり、その後、同紙の北朝鮮報道には随所にその傾向が現れたという。大勢の読者が保守系と思っているのに、実際は北朝鮮報道で融和的だというのだ。

 そう言えば思い当たる節があった。2000年の南北首脳会談の対北融和精神を継承し「平和」をテーマとした国際フォーラムが南部・済州島で毎年開かれるが、その主催者に同紙が名を連ねている。「中央日報がなぜ?」と地元識者に尋ねると、「保守系の中央日報が後援するぐらいだから、あなたが勘繰るようなリベラルな集まりではない」と言われた。なるほど韓国人も対北融和な中央日報の“正体”がまだ見えてないということか…。

(U)