済州島舞台に「平和」攻勢
地球だより
韓国南部の済州島で毎年開催される「平和」をテーマにした国際フォーラムに昨年に続き参加した。済州島は「韓国のハワイ」などと呼ぶ人もいる風光明媚(めいび)な場所で、中高生の修学旅行先としておなじみだ。
この島で「平和」を議論するのは深いワケがある。1948年4月3日、米ソ対立を背景にした韓半島分断への流れの中で左派島民が蜂起。これを当局や右派が鎮圧しようとし、54年9月までに住民の5人に1人が犠牲になったとされる4・3事件があったからだ。
文在寅大統領は開会式のビデオメッセージで事件に触れ、真相究明と名誉回復に努めると約束した。「反共」を国是とした時代の影響で犠牲者にスポットライトが当たらなかったことを言ったものだが、9年ぶりの左派政権には保守攻撃のチャンスでもある。
フォーラムでは国内外の著名人や識者が演壇に立つが、日本からはといえば日韓関係や北朝鮮問題で左派系の学者やマスコミ関係者も目立った。4・3事件をテーマにした人権と平和を考えるセッションには辺野古基地埋め立てに反対する沖縄の大学教授も。済州島も沖縄も反中央意識が強いから何かと左派に政治利用されやすい。
世界平和の島に指定された済州島で平和と繁栄を模索する、というのがフォーラム立ち上げの趣旨だが、「左寄りの平和」に偏りはしまいか気になった。
(U)