朴大統領は大丈夫か?
地球だより
韓国国民を失意のどん底に突き落としている朴槿恵大統領とその知人、崔順実(チェスンシル)容疑者による不正疑惑。親しくしている韓国の友人は記者の顔を見るなり「同じ韓国人として恥ずかしい限り」と言ってくるほどだ。2度目の謝罪会見でテレビカメラの前に姿を現した朴大統領は「満身創痍(そうい)」という言葉が当てはまるほど憔悴(しょうすい)し切った様子だった。
この光景を見ながら思い出したのは8年前の盧武鉉元大統領の自殺だ。巨額収賄疑惑で被疑者として検察に出頭した盧元大統領をソウルの最高検察庁で間近に取材した時、作り笑顔で記者団の質問に答える姿がどことなく切なく見えたものだ。大統領だった人物があっという間に容疑者に転落するドラスチックな韓国政治に驚いたのを思い出す。
朴大統領の場合は大丈夫だろうか。今回は韓国でしばしば見られる政権交代後の政敵による報復ではなく、孤独な時期に精神的支えになってくれた友人を大統領就任後も厚遇し過ぎたという「自滅型」だ。誰かに責任転嫁することさえできない点でもっと逃げ場がない。世論とメディアの視線は冷たく、砦(とりで)になってくれる信頼すべき家族もいない。
盧元大統領だけでない。朴大統領の父、朴正煕(パクチョンヒ)元大統領は側近の銃弾に倒れ、全斗煥(チョンドュファン)、盧泰愚(ノテウ)両元大統領は軍反乱罪や秘密資金隠匿の罪で服役し、金泳三(キムヨンサム)元大統領は通貨危機を招いた責任を追及された。歴代の「末路」を見て朴大統領は「そうなるまい」と身構えていたというが、待っていたのは「孤独」という思わぬ落とし穴だった。
(U)