南北ビラ飛ばし合戦


地球だより

 韓国では脱北者団体を中心に北朝鮮にビラをくくり付けた大型風船を飛ばし続けているが、最近、逆に北朝鮮の方からビラが大量に飛んで来て話題だ。韓国軍が再開した対北宣伝放送への報復措置で、軍事境界線近くから遠くは50㌔以上離れたソウル南方の水原という地方都市まで飛んできたという。ビラ包みが窓ガラスを割るなど被害も出ている。

 ビラには韓国の朴槿恵大統領を「汚物」と誹謗(ひぼう)する一方で、「われわれの尊厳(=最高指導者・金正恩第1書記)に手出しする者には無慈悲な火の洗礼のみ」と恐喝する文句がハングルで書かれている。ミサイル発射や崩落するホワイトハウスなど背景の絵はどこか時代遅れで、悪趣味の三流漫画を連想させる。

 韓国が飛ばすビラは、情報統制下にあり言論の自由が奪われている北朝鮮住民にとって衝撃的な内容が少なくないといわれ、実際にこれを見て脱北を決意した人もいる。だが、北朝鮮が飛ばすビラを見て驚く韓国人はいない。韓国人を“覚醒”させるどころか、発想の貧しさを同情されるのが関の山だ。

 それでもやられっ放しではプライドが許さないらしい。これまで脱北者団体は南風が吹く時期を狙ってビラを飛ばしてきたが、今後はドローンを利用したいと話している。恐らく北朝鮮も「風船には風船」の次は「ドローンにはドローン」だ。

(U)