手も口も検査も早い国
地球だより
以前、韓国の知人に一緒に海釣りに行かないかと誘われ、南西部の全羅南道沖にボートに乗って出掛けたことがある。二人ともそこそこ魚を釣り上げた後、岸に戻ったその時だった。知人は折り畳み式だったボートを片付け始めたのだが、結構、力の要る仕事なのに、誰かと競争でもしているような猛烈に早い手さばきで、あっという間に終えてしまった。筆者も手伝おうとしたが、その早さに追い付けず、結局、見ているだけだった。
韓国人は手に劣らず口も早い。普段の生活では日本人より若干早いかなと感じる程度だが、例えばテレビでお笑い番組の芸人や時事番組のコメンテーターがしゃべるテンポには舌を巻く。放送では時間が限られていることもあろうが、息継ぎをほとんどせず一挙に自論を展開する。こちらに赴任したての頃は聞き取るのにかなり苦労した。日本人の話法のように「間を取る」ことはせず、機関銃のようにしゃべってなんぼの世界だ。
今回のコロナ危機では、自国の検査システムでより早くより多く感染の有無を調べられたと大半の韓国人が自負している。海釣りに誘ってくれた知人も感染が急拡大している日本について「なぜ韓国のようにやらないの?」と不思議そうに聞いてくる。検査キットの精度を疑問視する向きもある中、取りあえず素早く動き、多少誤差があっても早くシロクロ付けたいという「早く早く」の心理も働いているかもしれない。
(U)