「日本の国民はその文化・礼儀・作法・風俗…
「日本の国民はその文化・礼儀・作法・風俗・習慣において、いうも恥ずかしいほど多くの点で我々スペイン人より遥(はる)かに優秀である」。1549年8月に来日したイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルが書簡で本国に伝えた言葉だ。
ザビエルは日本人の怜悧(れいり)な頭脳と善良な特質に感心し、「日本のミヤコに大学を建てたい」と高等教育機関の開設を構想。だが禁教令でかなわず、その遺志が実現したのは1913年のことだ。
05年にローマ法王ピウス10世がイエズス会に設立を託し、ウィリアム・オコンネル司教が実現させた。現在の上智大学である。今年はザビエル来日から470年目で、7月末にはイエズス会総長アルトゥロ・ソーサ神父が来日。
同大学で大学関係者を前に「世界においてのイエズス会高等教育」と題して語り、「私たちは、自分自身だけではなく、他者や、全人類が生きる地球に対しても責任を果たす信念を持った教育を探求すべきです」と指針を示した。
卒業生たちが「他者のために」生きているかどうか、実現できていれば教育は成功していると述べた。イエズス会総長の来日は11年ぶりで、日本への関心も大きい。
ソーサ神父はベネズエラ出身だが、同じ南米のアルゼンチン出身のフランシスコ・ローマ法王が11月に来日する。法王もイエズス会出身で日本は憧れの国。東京、広島、長崎を訪れる。「使徒たちのかしらの後継者」の日本へのメッセージが注目される。