日本を代表する建築家の安藤忠雄さん(78)…


 日本を代表する建築家の安藤忠雄さん(78)は建築について独学だった。その代わり「たくさんの本を読み、読書から多くのことを学んだ」という。一昨年、都内で「安藤忠雄展」が開かれ、初日に足を運んだ本人から聞いた。

 また「若い時、東大寺、法隆寺、唐招提寺、桂離宮、竜安寺など奈良、京都の数々の寺院を巡り、京都の町家もたくさん見た。建築というのはまず見て学ぶものだと思った」とも。「学びて時に之を習ふ」という論語の一節が思い出される。

 安藤さんは先日、神戸市役所で記者会見し、「子どものための図書館」を建設して同市に寄贈する構想を明らかにした。「館内に縁側を設け、どこでも自由に読書できるようにする。小さくても宝石箱のような図書館」を目指し、蔵書は広く寄贈を募る。

 神戸市は公の施設としての運営を予定し、震災犠牲者を追悼するモニュメントがある公園「東遊園地」を候補地に検討を進める。

 今、高校生が1カ月間に読む本は平均1・5冊で、1冊も読まない「不読者」の割合が半数に上る(2017年の第63回学校読書調査)。小学生、中学生、高校生と、学校段階が上がるほど平均読書冊数は減り、不読率は上昇する傾向にある。文部科学省は「高校生になるまでに読書習慣を形成する必要がある」という。

 国内外の多くの歴史的建造物を生き返らせ、その技は「安藤マジック」と呼ばれる安藤さん。今度の試みは、教育の再生を視野に入れている。