ラグビーは地デジ、アメフトはBS扱いだが、解説優れたNHK実況

◆難しいルールを説明

 正月のテレビ番組は、日本テレビの箱根大学駅伝以外は民放がバラエティーの目白押しで、NHKがスポーツ放送というイメージが定着してきている。

 今年もNHK総合は元旦の天皇杯全日本サッカー選手権決勝戦に続いて2日、全国大学ラグビー選手権準決勝の2試合を放映した。同ラグビーの試合は副音声で丁寧にルールの解説を加えていたが、よく似た種目のアメリカンフットボールの方は、社会人と大学のトップチーム同士の対戦を依然としてBSで扱っていた。

 サッカーと違って、ラグビーは確かにルールが分かりにくい。後ろにしかパスを出してはいけないという鉄則は見てすぐ分かるが、フィールド上のボールの取り合いで、もみ合い状態になった時のボールの扱いやゲーム再開の仕方や、ラグビーならではの反則はよく分からないものが多い。

 ルールがよく分からないと、試合を見ていても面白みは半減し興味も深まらない。ついついチャンネルを別の局に変えるということにもなる。ラグビールールについての理解がそういう状態であるためか、このNHKの大学ラグビー選手権の試合は、いつも大学ラグビーOBによる副音声でのルール解説が施される。

 準決勝は、第一試合が早稲田大学対筑波大学、第二試合が帝京大学対慶応大学の試合だった。試合の実況の解説者は日本代表の選手としても活躍したような人物が担当し、副音声の解説者とのコンビが決まっているようだ。豊富な経験をもとに、試合の局面に応じてアナウンサーの質問に答えながら、ルールを説明していた。

 倒れた選手が何とかボールを運んでトライをしても無効になること、ボールを奪い合おうとしてフィールドでもつれ合っている状況でもラックとモールと二種類があることなど、かなり詳しく報じていた。

 審判はマイクを装着し、そのジャッジが実況中継でよく聞こえるように工夫してあった。スクラムからなだれ込む中でトライが成立したとする審判の根拠も、ルールに従って解説した。

 圧倒的な力の差があれば、見ていても分かりやすい得点シーンが続く。だが、力が均衡していると、巧みなテクニックの差で勝負が決まるような印象を受けた。

◆増えるアメフト放送

 さて、ラグビー以上に、日本人にとってルールに馴染みがないのがアメリカンフットボールだ。こちらの方は、社会人ナンバーワンになったオービックと、大学ナンバーワンを決める甲子園ボウルを制した関西学院大学との試合(日本選手権ライスボウル)が3日東京ドームで行われ、実況中継された。

 競技人口が少ないためか、地デジでアメフトの試合が放送されることはまずない。NHKBS1での放送だったが、本場アメリカのフットボールリーグ(NFL)の試合も、NHKBSでよく放送されている。前より番組が多くなった印象だ。

 このアメフトの試合も、実況の副音声で富士通のチームの関係者が、ルール解説を行っていた。

 アメフトは11人で競技し、パスを渡しながら進むので一見ラグビーに似ている。だが、後方にパスを出さなければいけないラグビーと違い、前方に1回だけパスを出せる。そのため、ロングパスで大きく前進することが可能だ。ただ、ロングパスを相手に取られる(インターセプト)と、その瞬間から攻守が交代し、攻められる側になってしまう。これもラグビーのターンオーバーと似ている。

 解説者は、攻撃側が手渡し、または(ロング)パスなどの4回の攻撃(ダウン)で、トータル10ヤード(約9・1㍍)の距離の前進を図り、その距離を獲得できれば、また1回目の攻撃(ファーストダウン)から始め、攻撃の最前線を前に進められる、という基本的なことを随時説明していた。

 ライスボウルは、オービックの4連覇に終わり、日本のシーズンはこれで一段落だ。

◆本番を迎えるNFL

 一方、NFLの方はこれからが本番だ。大リーグで言うと、ワールドシリーズ前のリーグ戦で勝ちあがった6チームによるトーナメント戦がいよいよ始まり、2月初旬、全米ナンバーワンを決めるスーパーボウルが行われる。全米であれだけ熱狂するスポーツだ。ルールを理解すれば、面白い競技であることは間違いなく、この試合を満喫したいものである。

(山本 彰)