今年は亥年だが、イノシシにとっては受難の…


 今年は亥年だが、イノシシにとっては受難の年となりそうだ。昨年暮れに岐阜県で豚コレラが発生し、約8000頭の豚が殺処分された。昨日も新たな感染が見つかりさらに1600頭を処分するというが、野生のイノシシにも感染が広がっている。

 豚はイノシシが家畜化したものと言うけれど、見た目は大分違う。しかしイノシシも豚コレラに感染するということで、この類縁性も納得できる。

 豚コレラは感染すると数日で死に至るが、人には感染しない。ただ、養豚業者にとっては大変な脅威である。

 英BBCによるとデンマークは、ベルギーで豚コレラに感染して死亡した野生のイノシシが発見されたことを受け、イノシシの侵入を防ぐためドイツとの国境に長さ70㌔のフェンスの建設を始めた。ドイツ経由で感染が蔓延(まんえん)した場合、殺処分などで養豚業に17億㌦(1850億円)の被害をもたらすとデンマーク政府は警戒している。同国はヨーロッパ有数の養豚大国である。

 日本では野生のイノシシが増加傾向にあり、環境省によると2016年の推定生息数は89万頭で、25年前の約3倍。耕作放棄地の増加やハンターの減少などが要因という。害獣という不名誉な呼び方をされて捕獲の対象となっている。

 イノシシ肉の美味(おい)しさはよく耳にする。野生鳥獣の肉「ジビエ」としてもっと活用し、共存を図れないものか。それにつけても豚コレラの感染拡大には、しっかりと対策を講じてほしい。