「後悔はしたくない。全ての感情を消そう」…


 「後悔はしたくない。全ての感情を消そう」。昨年の全米に続き全豪オープンと四大大会連覇の快挙を果たしたテニスの大坂なおみ選手は、そう心を定めて湧き上がってくる弱気の虫を封じた。

 決勝戦の相手ペトラ・クビトバ選手(チェコ)に第1セットを先取し、第2セットも5-3からマッチポイントを握り崖っぷちに追い詰めた。ところが、ここから相手の驚異的な粘り腰の前に4ゲームを連続して失い逆転でセットを奪われた。

 勢いは相手に移った中で迎えた第3セット。これまでであれば試合中に感情をコントロールできなくなり自滅に追い込まれたりしたが、この試合では気持ちを見事に立て直した。我慢強く踏ん張り抜いてフルセットの激闘をものにした。

 男女を通じてアジア勢初の世界ランキング1位に就いたのもうれしいが、精神面の大きな成長をたたえたい。一つ一つのプレーに一喜一憂せずポーカーフェースを貫いて、勝負どころで高い集中力を発揮した。

 四大大会連覇について「試合中はほかのことは考えない。四大大会でプレーすることは子供の時からの夢だった。それが私にとって最大のモチベーション(意欲)」だと語る通りの試合ぶりで栄光を手繰り寄せたのだ。

 大坂選手はまだ21歳。技術、体力、経験、精神力の、いずれの面でも伸びしろが大きい。この先1位の座を守り続けられれば、来年の東京五輪の金メダル獲得も見えてくる。期待が大きく膨らむ。