ねんど大介さん、拠点を中国から台湾に
尖閣きっかけ、芸能生活再出発
「尖閣国有化で人生が変わってしまったけれど、台湾の人たちに救ってもらいました」。長崎県出身のお笑い芸人、ねんど大介さん(40)は今年4月、芸能活動の拠点を中国・上海から台北に移した。日本が尖閣諸島を国有化した2012年9月以降、中国での仕事が激減。得意の中国語を生かし、同じ中華圏の台湾で芸人生活の再スタートを切った。
ねんどさんは、19歳から中国語の勉強を始め、05年の反日デモを機に「中国人を笑わせに行ってくる」と本格的に中国に進出。中国語でコントのできる日本人として、テレビや舞台で幅広く活躍してきた。
ところが、順調だった中国での生活は尖閣国有化で一変。当局の「日本人の出演は駄目」との通達で月24本あった仕事はわずか2本に。反日デモが吹き荒れる中、ストレスから精神的にも追い詰められ、慣れ親しんだ中国を離れることを決めた。
台湾での芸人生活はプロダクション探しから始まったが、実績と経験が買われ、人気バラエティー番組のレギュラー出演が早々に決定。NHK・Eテレの中国語講座の仕事も舞い込み「台湾元年」は好調な滑り出しとなった。「40過ぎのタレントで使いづらいはずなのに。ありがたい」と感謝の言葉を口にする。
自らの運命を変えた尖閣問題について、ねんどさんは「ボタンの掛け違い。お互いが歩み寄る必要がある」と平和的な解決を願う。4日には台湾の東日本大震災時の支援に対する恩返しの気持ちを込め、台北で日台のお笑い芸人によるライブを開催した。「いずれは中華圏各地でやってみたい」。お笑いを通して日本とアジアの懸け橋となることを夢見ている。(台北時事)