複数の災害が同時、またはほぼ同時に発生…


 複数の災害が同時、またはほぼ同時に発生する「複合災害」。地震が発生した後に津波が来たり、地震や風水害によって土砂災害が発生したりするなど、その組み合わせは多くある。

 ところが、複合災害の本格的な研究、住民対応についてはまだほとんど手付かずの状態だと言われる。東京23区の約20%は海抜ゼロメートル地帯だが、台風と地震に同時に襲われるとどうなるのか。架空の話ではなくなっている。

 北海道地震で起きた土砂災害は、直前の台風21号による大雨の影響で、地盤が緩み地滑りが発生しやすい状態だったことが一因だ。大雨、地震、土砂崩れの災害が重なって大きな被害を出した。

 大阪地方に深い爪痕を残した台風21号では、強風と豪雨、高潮の複合災害が生じた。関西国際空港の機能が一時停止したほか、強風で剥がれた公共施設の側壁や商業施設の看板が舞い、マンションに直撃して屋内の住民にケガをさせた。複合災害は極めて複雑な様相を帯びる可能性がある。

 わが国では、地震、津波、噴火などシナリオ別の被害想定や、住民の避難対策については相当の知識の積み重ねがある。各戸に配られるハザードマップを一目見てもそれが分かる。

 しかし、頻発する自然災害の現状を見ると、地震と豪雨、噴火、津波・高潮などが重なる災害の発生もあり得る。竜巻などの気象現象が起きることもまれではなくなった。複合災害の脅威が身に染みる今夏だった。