テニスの四大大会シングルスで日本人選手が…
テニスの四大大会シングルスで日本人選手が初めて挑戦した1912年から1世紀を超え、ついに日本テニス界の悲願を達成した大坂なおみ(日清食品)。全米オープン女子シングルス決勝は、主審の判定にブチ切れしたセリーナ・ウィリアムズ(米国)を後押しする観客のブーイングに包まれた。
大坂はこれに動じない精神的たくましさで、S・ウィリアムズのパワーテニスを真っ向勝負で受け止め切り返した。天晴(あっぱ)れな試合ぶりだったが、それ以上に表彰式などでの応答も称賛ものである。
四大大会最多タイ24回目の優勝を狙った女王S・ウィリアムズと四大大会決勝で対戦することが大坂の小さい頃からの夢であり、家族も同じだった。
大坂の父親(ハイチ出身)はテニスの経験がなかった。ウィリアムズ姉妹がテニス素人の父親の指導で世界女王に駆け上がったことを範として、家族でつかんだ頂点なのだ。
「みんながセリーナを応援していることは分かっていた。こんな結果でごめんなさい」。二十歳(はたち)の勝者が謝る異例の優勝スピーチは続けて、S・ウィリアムズに丁寧な礼で深い尊敬を示して「(夢だった)あなたとプレーできて感謝しています」と結んだのである。
S・ウィリアムズも「今は称賛されるべき人を称賛しましょう。おめでとう、なおみ」とファンに呼び掛けた。ブーイングを祝福の拍手に変えた大坂の自然な振る舞いは、すでにチャンピオンのオーラに包まれている。