「人生80」時代の祝い方
地球だより
人生の節目を祝う習慣は韓国でも盛んだ。還暦や古希の祝いを家族・親戚はもちろんご近所さんなども呼んで盛大に宴席を設けるのが常だ。
ところが近年、経済発展で食生活が豊かになり、医療の進歩もあって韓国人の寿命が急速に伸びたためか、還暦はもちろん古希もすっ飛ばして傘寿(数えの80歳)になってようやく祝いの場を設ける人が増えている。以前は「還暦祝いなんて若すぎて…」だったが、今は「古希もまだまだ若い」が主流だ。
平素、懇意にしている何人かの韓国の知人にも80代のご両親がいるが、聞いてみると皆傘寿になってようやく祝ったが、それも家族だけで簡単に食事をして済ませたという。
以前、韓国には多くの人たち、時としてほとんど関係のない人まで呼んで「祝ってもらう」ことで満足感に浸る文化があった。結婚式や葬儀、古希の祝いなどでは大きなレストランを貸し切りにし、受付で祝儀・不祝儀袋を集め、抜け目なく収支計算をする“商売”感覚まで持っていた。だが、今はもうそうすることに抵抗を感じつつあるようだ。
ただし、祝いの宴席を設けなくなったのには別の理由もあった。親戚同士の付き合いが冷え込んだり、ちょっとしたトラブルで断絶したりするケースが少なくないため、互いに呼びたくない、呼ばれたくないのが本音なのだとか。人情深い分、傷ついたり裏切られた時の憎悪も半端ではない。これもお国柄か。
(U)