2011年の東日本大震災の際、世界で最も多くの…
2011年の東日本大震災の際、世界で最も多くの義捐金を寄せたことなどをきっかけに、台湾と日本は国や民間レベルで友好関係が深まっている。日台双方の旅行者も増加している。一方、福島第1原発事故を受けて今も台湾は福島県やその周辺の県の農林水産物の輸入を規制している。
日本とかつてない友好関係にある台湾でも、やはり食品の安全については慎重にならざるを得ない。まして放射能に関わることだとなおさらのようだ。風評被害払拭(ふっしょく)の難しさを思い知らされる。
今年7月、小紙が李登輝元台湾総統にインタビューした際も、輸入規制を解除できないのか質問した。農業経済学博士でもある李元総統の答えは「科学的に安全が保証されているのであれば、規制は一刻も早く解除すべきでしょう」と実に明快なものだった。
規制解除への働き掛けは国より自治体の方が積極的のようだ。台湾を訪れている千葉県の森田健作知事は、友好交流協定を締結している桃園市の鄭文燦市長と会談し、千葉県産の農林水産物の輸入規制の早期解除に向けて協力して取り組むことを確認した。
鄭市長は台湾当局と調整する意向を示したという。都市間の友好が国をも動かして規制解除を両国の利益に繋(つな)げようという実に建設的な動きだ。
表面的儀礼的になりがちな姉妹都市関係の模範と言っていいのではないか。慰安婦像を受け入れた米サンフランシスコ市と大阪市との関係と何と違うことか。