「関西というのは難しい土地柄です」と山崎…
「関西というのは難しい土地柄です」と山崎正和氏(劇作家、評論家)が話している。24時間にも及ぶインタビューをまとめた『舞台をまわす、舞台がまわる』(中央公論新社刊)という本の中での発言だ。
京都人は、例えば祇園祭では大阪財界から多大な支援を受けているのに、大阪人をどこかでバカにしている。そもそも京都人は、大阪だけではなく、京都以外の地域には関心がない……といった具合だ。
大阪の経済規模は京都よりも圧倒的に大きいのだが、京都人は「うちにはお寺があります」ということで評価しようとしない。
「大阪と京都」の関係を関東に置き換えると「東京と横浜」ということになるだろうか。もっとも、ここでは横浜が東京の弟分という立場で満足していることによって安定している。京都も大阪も歴史が古い点で似ているのに対し、横浜の歴史が新しいことも関係していると思われる。
山崎氏は長らく「関西の地域振興」に取り組んできた。地域振興という発想は東京にはない。もちろんそこには、明治維新以後の京都・大阪の低迷という現実があるのだが、東京の人たちの大部分はこうした事実を知らないと山崎氏は指摘する。
これらの発言が、京都生まれで旧満州育ち、京都大学出身で関西在住、しかも「京都にはいい記憶がない」と公言するなど、関西地方の内側を知り尽くした「関西人」である山崎氏の口から出てきたことが興味深い。