米南部フロリダ州のフォートローダーデール…


 米南部フロリダ州のフォートローダーデール・ハリウッド国際空港で今月6日、元州兵による銃乱射事件があり、5人が死亡、8人が負傷した。容疑者は捕らえられたが、動機は不明だという。

 容疑者は2016年8月までアラスカ州兵に所属。10~11年にイラクに従軍した。親族によると、イラクから帰国後に様子がおかしくなった。イラクとアフガニスタンからの復員兵に関して驚くような統計がある。

 1日に22人が自殺しているという。14年11月11日の米退役軍人の日に、反戦イラク帰還兵の会が発表したもの。単純に計算すれば、1年に約8000人が自ら命を絶っていることになる。国家にとっても大きな損失だと言える。

 また、復員兵の5人に1人は心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、約20万人が社会に復帰できず、ホームレスとなっているという。多くは学歴も職歴もない人たちだ。

 こうした復員兵の問題は、映画の主題にもなってきた。来月公開される「マン・ダウン 戦士の約束」(ディート・モンティエル監督)は、PTSDを発症した兵士の目に世界がどう見えるかを提示して興味をそそる。

 戦場から妻子の待っている故郷に帰って来たが、そこは異次元の世界のように荒廃していて、戦争は続いており、彼は戦場にいた時と同じ行動を取る。虚構なので現実をどこまで反映させたのかは不明だが、事態の深刻さは伝わってくる。これも戦争の側面だ。