地球環境の悪化に対し、国連で1992年に採択…


 地球環境の悪化に対し、国連で1992年に採択された気候変動枠組み条約。この条約を基に途上国の地球温暖化対策支援のために設立された国際基金に「緑の気候基金」がある。

 ところが、南太平洋の島嶼(とうしょ)国キリバスの名誉領事、ケンタロ・オノさんによると「この基金による援助を最も必要としている私たちが、それを引き出すのはかなりむつかしい」。

 基金では現在、102億㌦が利用可能とみられ、2020年までに年間1000億㌦を利用することを目標としている。しかし実際のところ、資金をどう集め、誰がどのような基準で使うのかといったルールは確立していないのだ。

 意外に思えるが、同条約に基づく国際会議の場で、これまで海洋や沿岸域への悪影響についての議論は重視されてこなかった。大国の米中両国が海面上昇への危機感に乏しく、島嶼国の立場、意見が反映されにくい状況だ。

 これに対し昨年11月、同条約第22回締約国会議(COP22)で海洋コミュニティーの危機を強く訴えたのが、「オーシャンズ・アクション・デー」の催し。COP22議長国のモロッコ政府などが主催、笹川平和財団海洋政策研究所などが共催し、本会議場でサイドイベントとして開かれた。

 各国政府機関の代表ら400人以上が参加し、財政支援の方策などをまとめた「海洋と気候に関する戦略的行動計画」を固めた。COP21の「オーシャン・デー」に続くもので、今後の動向に注目したい。