韓国の朴槿恵大統領の親友で、「陰の実力者」と呼ばれる民間人女性、崔順実氏（60）が国政介入疑惑で逮捕された。疑惑は多岐にわたっている。

　大統領の演説草稿など機密文書を入手した上でアドバイスしたり、公的な人事、外交、文化振興策など政策決定に口を挟んだりしていたという。大統領府や財界の後援でできた財団を財布代わりに使っていた疑いもある。

　国政は混乱を呈し、国会では与党セヌリ党の提案した「挙国中立内閣」を野党が拒否、主導権争いが激しくなっている。朴政権への信頼は著しく損なわれたが、統治者としての脇の甘さ、危機管理のなさは呆（あき）れるばかりだ。

　朴氏の両親が暗殺された後、崔氏一族は朴氏の心身をサポート、当時は美談の部類だったようだ。しかしその後、政財界では崔氏の横紙破りが目につき、大統領との関係は知る人ぞ知るであった。

　降って湧いたようなスキャンダルだが、仕掛け人探しも始まっている。現在、韓国社会は生活環境の整備が着々と進み、地元のために道路を舗装した、橋を架けたなど従来、国政選挙の集票の種になってきた案件が少なくなっている。

　社会が総体的に安定する中、政治的混乱を招く劇薬が投げ込まれたという見方もある。国内の不安定化は北朝鮮を喜ばすだけだし、日韓関係にも影響を与えかねない。挙国一致で難局を乗り切ることができるか、大いに気になるところだ。