日本の大学は長年、実践的な研究とは関係の…


 日本の大学は長年、実践的な研究とは関係の薄い部分で存在し続けたが、その風向きが今世紀に入り変わった。大学出資のベンチャー企業の発進も続いている。

 それを見据えて、三菱UFJキャピタルの半田宗樹社長は「プロの経営者と一体になって、大学にある研究成果を事業化する動きが出てきた。大きなうねりになる可能性がある」と。大学発のベンチャー企業を積極的に評価した。

 注目されるのは、医療や医薬品などの「ライフサイエンス」分野。「大学には創薬の技術基盤になり得る『種』がたくさんある。事業化前の段階から大学と一緒に投資していきたい」と経営に参加することも視野に入れる。

 今、大学の生物化学系課程では、バイオ、遺伝子工学分野の研究に勢いがある。京都大の山中伸弥教授が開発したiPS細胞の再生医療への応用、北里大の大村智特別栄誉教授が発見した数々の微生物が作る化合物の医薬への応用なども大いに刺激になっている。

 大学側としても、産業界からのアプローチは願ったり叶ったりのはず。国の厳しい財政事情もあり、大学への経済的支援は年々減少している。それを補うのに学生の数を増やすことだけが得策ではなかろう。

 基礎研究を大学が引き受け、製品化を企業が担っていくといった産学連携の視点を打ち出すことも求められる。大学側は得意分野をアピールし、各大学間で研究水準向上に向け競うべきだ。