イエズス会の宣教師で、上智大学名誉教授…
イエズス会の宣教師で、上智大学名誉教授だったアンセルモ・マタイスさんが、心から惚れ込んでいた女性がいた。1999年1月に最終講義を行った時も、この人物について熱い思いを込めて語った。
インドで貧者救済に尽力したマザー・テレサだ。マタイスさんはインドの「神の愛の宣教者会」本部で、一緒にミサを立て、聖体拝領をともにした。来日して大学を訪れた時には心温まる時間を過ごした。
敬愛の念を込めて『イエスを愛した女 マザー・テレサ 「聖女」の真実』(現代書林)という伝記も書いた。同じ信仰を持ち、イエスを愛してきたので、気持ちも行動もよく理解できたのだろう。
最終講義で触れたのは、彼女がいかに徹底して人間を大切にして生きたかということ。路上に倒れて人として扱われたことのない人も、彼女にとっては「Very Important Person」。
死を待つだけの人に触れる時、キリストに触れている。同じミサにあずかった修道女にこのように指導していた、とマタイスさんは述べた。マザー・テレサ没後19年。先日、カトリックの「聖人」に認定された。
フランシスコ・ローマ法王はバチカンのサンピエトロ広場で認定を宣言。マザー・テレサが活動拠点としたインドのコルカタは祝賀ムードに包まれ、「神の愛の宣教者会」の本部で特別礼拝が行われた。2012年に亡くなったマタイスさんもあの世で祝っていることだろう。