14年連続してきた年間の全国交通事故死者の…


 14年連続してきた年間の全国交通事故死者の対前年比減少は、昨年が4人増の4117人となり足踏みした。わずかだったが、増加は増加。仕切り直しとなった今年は再び減少へと大きく進みそうなだけでなく、3000人台に入る展望も見えてきた。

 今年前半の6月末までの交通死者は1827人で昨年より66人の減。月ごとに平均約10人減少となる。これが1年の3分の2となる先月末までだと2449人に。

 8カ月間の比較で、前年比105人減である。今月を含め残る4カ月で交通死者を昨年より、あと13人減らせれば4000人未満が達成される。

 だが、この4カ月は秋の行楽シーズン、慌ただしい師走、年末と1年の中でも交通事故の多発期に入る。月ごとに300人台前半だった事故死者も、300人台後半へと増えるのだから油断はできない。

 昨年を別にして交通死者が毎年、減少してきた理由の一つは全国的に飲酒運転事故が減っているからだ。そのきっかけとなったのは10年前の平成18年8月25日夜に、福岡市東区の「海の中道大橋」で起きた飲酒運転追突事故である。

 一家5人が乗った車が海に落とされ、幼いきょうだい3人が犠牲となった痛ましい事故で、覚えておられる人も多かろう。事故を契機に飲酒運転撲滅の動きが広がり、平成19年に飲酒運転車の同乗者らを罪に問えるなど道交法が改正されてきた。厳罰化の効果は小さくない。