北海道からの「入梅イワシ」が銀座の高級すし店…
北海道からの「入梅イワシ」が銀座の高級すし店からスーパー店先まで、人気を集めている(小紙3日付経済面)。大衆魚のイワシは市場には年中出回るが、旬は梅雨時から暑くなってくる夏場にかけて。
新鮮な青魚を生身の刺し身や握りで味わうと、旬をいただく幸せが感じられる。特にこの梅雨時に出回る北の海で育った道産イワシは大型のものが多い上に、脂が乗っていて値段(スーパー特売で1匹80~100円)が手ごろなのはうれしい。
漁場が縮小したサケ・マス漁や不振が続くサンマ漁。これを補うためにスタートした釧路市や根室市沖合の近海イワシ漁は、海に流出する増水した川水が豊富なプランクトンを含み、それを摂取し「皮の下に脂がたっぷり乗っている」(築地の卸業者)上質ものの水揚げが増えている。
極上品は銀座の高級すし店に航空便で届くというから、かつてスペインから空輸した「空飛ぶマグロ」(地中海マグロ)が、今は北海道からの「空飛ぶイワシ」となった趣(おもむき)。格上げされたイワシの別称「御紫(おむら)」は紫式部に由来するという。
イワシは「卑しい」がなまったとする説がある。イワシを食していた紫式部に、夫が「そんな卑しいものを」と叱った。これに紫式部は抗議の歌を詠んで返したとか。
紫式部が好物としたイワシは健康にいい食材として価値を上げている。動脈硬化の予防にいい不飽和脂肪酸を多く含むからである。