2013年、アルジェリア東部で起きた天然ガス…


 2013年、アルジェリア東部で起きた天然ガス関連施設襲撃事件で日本人10人が犠牲になり、日本人に大きな衝撃を与えた。ただし、あの時はまだ、邦人が巻き添えにされた、という感があった。

 しかし、バングラデシュの首都ダッカで7邦人の死亡が確認された今回のテロ事件では、犯行主体は違うが、日本人もテロの標的となり得るという認識が欠かせなくなったという印象が強い。テロとの戦いはますます厳しいものになってきた。

 バングラデシュでは、昨年9月にダッカでイタリア人のNGO関係者が、10月には北部の街で日本人男性が殺害されるなど、一般人を狙ったテロ事件が頻発した。犯人たちは民主主義の常識が通じない者たちだ。念には念を入れたテロに対する備えが必要だった。

 またアルジェリアの事件当時から言われたが、海外進出の企業はテロや災害発生時の安全対策マニュアルを一応整備しているものの限界がある。テロ防止、被害者救出で、国家が前面に立たなければ、テロに遭遇する危険は絶えずあり、防ぎきれないということだ。

 同事件後、緊急時に在外邦人を救助するため、自衛隊による陸上輸送を可能にする改正自衛隊法が成立したのは良かった。しかし、国がテロに関する情報収集体制を強化し、邦人を守り通すという決意と対策はまだまだ不十分だ。

 日本の確たる技術を海外に展開する先兵たちを失ったことは返す返す悔やまれる。