現地のメディアでは、英国(Britain)と…
現地のメディアでは、英国(Britain)と出口(Exit)を掛け合わせて、英国のEU離脱を意味する「ブレグジット(Brexit)」という造語まで生まれて、EUに残留するか離脱かの熱い議論の渦中にある。
その決着が歴史を刻むことになる国民投票がいよいよこの23日に迫った。日本では、欧州や英国とは遠く、加えて党の指名獲得を確実にした民主党ヒラリー・クリントン氏と共和党ドナルド・トランプ氏が激突し舌戦が本格化する米国大統領選の方に注目し続けてきた。
それが俄かに無関心ではいられなくなってきたのは世論調査で、残留か離脱かの支持が拮抗し、離脱の可能性も現実味を帯びてきたからだ。離脱となれば、その打撃は特に経済と金融、安全保障面を中心に、当の英国と求心力を失うEUを震撼させるだけに止まらない。
英国を入り口にしてEU市場への貿易や投資、事業展開を進めてきた日本。経済などに加えてNATОとの連携を図ってきた米国の外交、防衛戦略にも大きなひび割れが避けられまい。
そして、EUの弱体化を眼前にほくそ笑むのは、ウクライナ侵略に対する欧米の経済制裁から脱却を狙うロシアである。
英国には肥大化したEUの官僚主義の弊害への批判が根強くあり、移民や難民の流入急増がこれに拍車を掛けた。いま薄氷を踏む思いで神に祈るのは、残留支持を見込んで国民投票に踏み切ったキャメロン首相であろう。