「一月往(い)ぬ、二月逃げる、三月去る」。…
「一月往(い)ぬ、二月逃げる、三月去る」。今年もはや3月のスタートである。過ぎゆく時の流れの早さに驚くとともに、春の訪れを実感する月に何やら心も弾む。3月は旧暦で弥生ともいうが、萌えいずる草木が生(お)い茂ることを「弥(いや)おい」といい、それが「やよい」となったという。
職員が昔ながらの足で見聞するやり方で季節をとらえるウェザーテックの「生物気象観測」では、今年のウグイス「初鳴日(しょめいび)」が前橋で平年より4日早い。タンポポの開花も広島で4日、福岡で5日それぞれ早かった。
厳冬も昨年まで4年続きだったが、今年はやや暖冬気味できた。昨日の小紙第1面を飾ったのは静岡・河津町での「河津桜まつり」(10日まで)の写真。見ごろを迎えた早咲きの河津桜と菜の花が織りなすコントラストの妙を楽しむ人々でにぎわっている。
近くの家の庭では、人の背丈より少し高いぐらいの小さなコブシが早くも白い花を開いていた。コブシの大木がパッと白い花を咲かせるのを見上げると、青空にふわふわと浮かんでいるようで楽しい。
3月は3日が女児の健やかな成育を願ってひな人形を飾るひな祭り、桃の節句。二十四節気の啓蟄(けいちつ)が5日である。冬ごもりしていた虫や蛙などが目を覚まし、地上に這(は)い出すころ。
ケルトの古い言い伝えに「三月 雨のなかに微笑する」とある。水が温み、生き物が動き出し、花ほころぶ、やさしく明るい季節はすぐそこに。