大阪市北区の阪急梅田駅近くで車が暴走し、…


 大阪市北区の阪急梅田駅近くで車が暴走し、11人が死傷した事故で、運転者(51)の死因は大動脈解離による心疾患だった。停車中に体調を悪化させ、アクセルを踏み込んだ可能性が高いという。

 一度路肩に止まって用心したことが次の行動を呼び込んだとすると、偶然が重なってしまった不運な事故だ。事故は「人的要因」の重大性を物語っている。

 バスやトラックの運転手の体調急変による事故が相次いでいるため、国土交通省は自動で車にブレーキをかけて停止させるシステムの技術指針をまとめ、メーカーに実用化を促す方針だ。自動車業界では最近、進路変更や障害物の回避などの情報処理を行う自動運転技術の開発も進んでいる。

 同時に、故障や操作ミス、設計上の不具合などの障害が発生することを想定し、起きた際の被害を最小限に抑えるための設計手法(フェイルセーフ)の高度化も交通事故の減少につながろう。

 しかし、すべてを機械任せにすることはできない。車の安全性向上は欠かせないとしても、やはり運転手が自身の心身の状態に常に気を配ることも大切だ。車だけでなく、特に鉄道や航空などの公共交通機関では操縦士、運転士の健康管理を徹底し、事故の出発点にある人的要因をなくすことに努めるべきだ。

 現代はさまざまな人工物と人間との総体として社会システムが存在している。その両者への目配りが必要だ。