環太平洋連携協定(TPP)の署名式が、…
環太平洋連携協定(TPP)の署名式が、ニュージーランドのオークランドで開かれ、参加12カ国の代表が署名した。今後は、それぞれ国内での手続きに移る。大統領選を前にした米国での批准作業が気になるところだ。
署名式には、TPP締結に最大の功労があったにもかかわらず、自身の金銭授受疑惑で職を退いた甘利明前経済再生担当相に代わり、高鳥修一内閣府副大臣が出席した。
コメどころ新潟県選出の高鳥氏は、かつてTPPに断固反対を表明していた。そんな氏が歴史的な署名をするのを見ても、やはり政界は一寸先は闇と言うべきか。
それでも、高鳥氏がピンチヒッターとなったことで怪我の功名もあった。羽織袴の和装で臨んだことだ。以前から、なぜ日本人は国際会合の場などで和装をしないのか、疑問を感じていたという高鳥氏、日本文化の発信のため、迷うことなく和装を選んだという。
国際的大舞台での和装と言えば、1968(昭和43)年にノーベル文学賞を受賞した川端康成が浮かぶ。ストックホルムのコンサートホールで開かれた授賞式に、文豪は他の受賞者がみな燕尾服で臨む中、一人紋付き袴の正装で臨んだ。
授賞式は燕尾服で臨むのが決まり。しかし、民族衣装である和服の正装はそれに相当するとされたのだ。「美しい日本の私」と題して記念講演を行った川端は、その美しさを自身の着物姿で示したのである。