東京・地下鉄銀座線の京橋駅で下車した。…
東京・地下鉄銀座線の京橋駅で下車した。東京スクエアガーデンが2年前にできて、駅の出入り口と、地上の景観が変わり、一瞬、戸惑いを覚えた。地上に出ると、ビルの谷間からセミの声が流れてくる。
映画の試写会に行くためだったが、その帰り道、銀座の方に向かうと書店があった。LIXILブックギャラリー。書店があると、時間が許せば、入って書棚を眺めるのが習慣になってしまっている。
建築、インテリア、デザイン、生活文化の本が並んでいた。本のセレクトの仕方には、この街らしい雰囲気やセンスが感じられて興味深かった。生活文化のジャンルには動植物、都市、料理、焼き物などあり、豊かな趣味生活を演出するもの。
ここで面白い新刊書を見つけた。エッセイスト宮田珠己さんの『いい感じの石ころを拾いに』(河出書房新社)だ。宝石や鉱物の図鑑は他の書店でも見かけるが、石ころを集め、その美に見入る、という本は珍しい。
宮田さんの取材によると、石は米国やドイツで人気があり、ブームになっている。よい石が採れ、絵画的なものはアクセサリーになり、板状に切って模様を示した石も売っているそうだ。
宮田さんが読者に石拾いスポットとして案内するのは、日本各地の海岸。糸魚川のヒスイ海岸で見つけた石は、白地に青の斑点がたくさん浮かんでいた。「星座石」と名付けた。石一つにも人に幸せを感じさせる神秘がある。