首相「世界平和に不断の努力」 慰霊の日 沖縄戦没者の冥福祈る
沖縄県は「慰霊の日」の23日、沖縄本島南部の糸満市摩文仁(まぶに)にある平和祈念公園で、戦後70年沖縄全戦没者追悼式を行った。安倍晋三首相、衆参両院議長、翁長雄志(おながたけし)知事、キャロライン・ケネディ駐日米国大使らをはじめ約5400人(主催者発表)が参列、正午の時報にあわせ1分間の黙祷をささげ、戦没者の冥福を祈った。
糸満市摩文仁は、太平洋戦争末期の沖縄地上戦で最後の激戦地となった地域。首相はあいさつで、「(沖縄の地で)流された血と涙に思いをいたし、静かに頭を垂れたい」と語り、「世界平和に向け不断の努力をする」と、平和への誓いを述べた。
さらに首相は「米軍基地の集中など、安全保障上の大きな負担を担っていただいている」と、沖縄県の人々に感謝を表明し、「今後も引き続き、基地負担の軽減に全力を尽くす」と強調した。
一方、翁長知事は「政府は、普天間基地を辺野古へ移設する作業の中止を決断し、政策を見直すことを強く求める」として、政府が進める普天間移設作業を厳しく批判。出席者らが平和への誓いを述べる中で、政治色を前面に打ち出す異例のスピーチを行った。
県立与勝高校3年の知念捷(まさる)さんは、「みるく世がやゆら(今は平和でしょうか)」と題する自作の平和の詩を朗読し、平和を引き継ぐ大切さを訴えた。
追悼式には、岸田文雄外相、中谷元防衛相、橋下徹大阪市長らも出席した。
公園内に設置された「平和の礎(いしじ)」の刻銘板には今年、新たに87人の名前が刻まれ、総刻銘者数は24万1336人となった。