高校生ら真剣、「政治に無関心ではいられない」


選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げに戸惑いも

高校生ら真剣、「政治に無関心ではいられない」

「18歳選挙権、是か非か」について討論する芝浦工業大柏高校の1年生=16日午後、千葉県柏市

 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる改正公選法が17日、国会で成立した。高校生は「もう政治に無関心ではいられない」と真剣だ。一方、「責任ある一票を投じることができるか不安」といった戸惑いの声も聞かれた。

 芝浦工業大柏中学高等学校(千葉県柏市)では16日、高校1年の43人が授業で「18歳選挙権、是か非か」をテーマに討論。年代別投票率などのデータを基に「政党が若者向けの政策を重視して、若者を政治に引きつけるようになる」「先生の考えが生徒に影響を与えてしまう」「若者の投票率はもっと下がるかも」などの意見が飛び交った。

 山本優月さん(15)は、18~19歳の意識調査から、「政治に興味がない」のに「投票に行く」と回答した人が5%いると分析。「興味本位で投票するのはどうかと思う」と反対の論陣を張った。ただ「(今の政治が将来の)自分たちに影響すると考えるなら選挙年齢を下げて投票した方がいい」と言う。

 かえつ有明中・高等学校(東京都江東区)の高校3年、上野香乃実さん(17)はこの夏、地方議員に3日間密着するNPO法人主催のインターンシップに参加するつもりだ。「来夏から投票できるので政治に無関心ではいられない。(若者が)自ら(社会や政治を)動かしていく実感が持てると思う」と前向きだ。

 一方、2年後には投票権を得ることになる1年の伊藤陽加さん(15)は「今の段階で自分の意見が選べていない。周りに流されないようにしたい」。鶴田あす海さん(16)は「投票しても世の中が変わらないと思っている自分がいて不安」と明かす。

 両校とも模擬選挙や時事問題の討論を通じて、主権者教育を模索してきた。柏中学高等学校の杉浦正和教頭(63)は「主権者教育は学校教育の課題。今後、機運は高まる」とする。かえつ有明の金井達亮教諭(36)は「教諭は自分の考えを押し付けず、生徒がいろんな視点から物事を考えることが大事」と話した。