「音楽の父」バッハが肖像画、ゆかりの地に


2世紀半を経て独ライプチヒに戻り、一般公開

「音楽の父」バッハが肖像画、ゆかりの地に

12日、バッハ音楽祭の開幕演奏会で披露されたバッハの肖像画=ドイツ・ライプチヒ(時事)

 「音楽の父」として知られるヨハン・セバスティアン・バッハ(1685~1750年)の肖像画が約2世紀半ぶりにゆかりの地ドイツ東部ライプチヒに戻り、12日、一般公開された。

 多くの人にとって学校の音楽室などで見た記憶のあるバッハの絵の原点となった肖像画。生前のバッハを描いた肖像画は2点あるが、そのうち「より良い状態で残され、生き生きとした表情が魅力」(ライプチヒ・バッハ資料財団)の作品だ。

 絵は1748年に画家エリアス・ゴットロープ・ハウスマンが描いた。60歳代前半のバッハが正装し、右手に自身作曲の楽譜を持つ。米国の音楽学者が所有していたが、昨年の死去前、資料財団に譲ることを決めていた。

 肖像画は12日に市内のニコライ教会で行われたバッハ音楽祭の開幕演奏会で披露された。財団のガーディナー会長はあいさつで「途方もない長旅を終えて帰ってきてくれた」と歓迎した。縦81センチ、横66センチの肖像画は今後、財団内のバッハ博物館で常設展示される。

 バッハはライプチヒのトーマス教会音楽監督を長く務め、この地で生涯を閉じた。肖像画は死後、バッハの次男に受け継がれ、ライプチヒを離れた。19世紀初めからはユダヤ系家庭が所蔵。第2次大戦中には爆撃から守るため、絵は英国の一家に託され、その後、米国に渡っていた。(ライプチヒ〈ドイツ東部〉時事)