国際サッカー連盟(FIFA)の副会長ら…
国際サッカー連盟(FIFA)の副会長ら14人の幹部が汚職で起訴されたニュースが世界を駆け巡った。
英国では、28日付タイムズ紙が1面トップで「不正のワールドカップ(W杯)」と見出しを掲げた。「FIFA史上で最悪の日」を迎えたとし、W杯の2018年ロシア大会と22年カタール大会が予定通り開催されるか、疑念が浮上と伝えた。
ガーディアン紙も1面で「汚職の塹壕(ざんごう)」と報道し、幹部の起訴でFIFAは「前代未聞の危機」に直面したと指摘。デーリー・テレグラフ紙は「サッカー界の核心が揺らいでいる」とし、いち早く特集を組んだ。
現代的なサッカーは19世紀後半、英国で産業革命の担い手であった中産階級の娯楽、スポーツとして生まれた。他のスポーツのクラブでは中産階級出の選手が多かったが、「サッカーの場合、職人・労働者ないし下層中流階級の出身者のクラブが生まれた」(川北稔編『「非労働時間」の生活史』)という。
サッカーはもともと「クリスチャン・ジェントルマンの教育理念の下に…そのルールを獲得し、現代的な競技スポーツになった」上、「(キリスト教会が)布教のため、また信徒の健康・維持のためにフットボール(注・サッカー)を勧めた」(同)。
こうしてサッカーが世界に広がったが、この人気スポーツをめぐって根深いスキャンダルが起こった。英メディアの厳しい論調に「サッカーの母国」の無念が読み取れる。