「朝刊とパンとコーヒー風五月」(浅野右橘)…


 「朝刊とパンとコーヒー風五月」(浅野右橘)。5月に入ると、肌に触れる風の中に木々の匂いや息吹などが感じられるようになる。俳句では「風薫る」という季語もあるが、これは6月ごろのもの。

 いずれにしても、外出には絶好の季節だ。ゴールデンウイークの期間は、日本列島で北に南に人の移動も大きい。このところの暑さは夏のようだが、後半は天気がやや下り坂になるという予報だ。

 5月はツツジやサツキの花が咲き乱れる頃合い。街路樹の下で垣根となっている緑の中で、花は炎のように見えたりする。色彩も桜色や赤などの鮮やかなものが多い。

 「少女駈け犬駈け浅瀬夏となる」(橋本博)。木々の緑もそうだが、川や海も春の色から夏の色へ変わっていくように感じられる。青の色合いが濃くなってくるのである。主観的な印象と言ってしまえばそれまでだが、万物万象の生命力のあふれる季節であることは間違いない。また、水温が上昇するが、気温も高いのでひんやりと感じられる時期でもある。

 春夏秋冬は、よく人生に例えられる。その意味で、初夏は青春時代の入り口あたりだろうか。どこか未来に漠然とした希望を抱く年頃である。

 きょうは憲法記念日。日本国憲法は昭和21(1946)年11月3日に公布され、翌年のきょう施行された。わが国の憲法の課題について、国の将来を担う若い人々に改めて知ってほしい日でもある。