人の機嫌の良しあし、目や口の写真だけで判別


犬で実験オーストリアの研究チーム

人の機嫌の良しあし、目や口の写真だけで判別

犬に人の機嫌が良い顔と悪い顔の写真をタッチスクリーンで示す実験。顔の上下どちらか半分の写真で判別できた(ウィーン獣医科大提供)

 ペットの犬が人の目や口の辺りの写真を見るだけで、機嫌が良いか悪いか判別できることを実験で確認したと、オーストリアのウィーン獣医科大の研究チームが15日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に発表した。

 犬が目で細かい物を見分ける能力は、においや声を識別する能力に比べて低いが、飼い主の表情を見て暮らしてきた経験に基づき判断できたと考えられる。犬は大昔に人類に飼いならされたオオカミが品種の選抜、改良を経て現代に至っており、オオカミでも実験して判断力の発達に違いがあるか調べたいという。

 実験は犬の前にタッチスクリーンを置き、大人の女性の微笑の顔と怒ったような顔の写真の組み合わせ10組について、目がある顔の上半分か、口がある下半分だけを示して行った。笑顔を正解とする場合と怒った顔が正解の場合を設定し、正解の顔をタッチすると餌をやった。

 手順を覚えさせる段階では、怒った顔を正解とされたグループは、笑顔が正解の場合に比べ、学習に3倍の実験回数が必要だった。これは怒った人に近づき、とばっちりを食った経験によるとみられる。いったん覚えると、学習していない方の顔半分の写真や新しい人の写真でも、7~8割の正解率だった。