NASAが米次世代宇宙船試験機を打ち上げ


火星有人探査を目指し初飛行

NASAが米次世代宇宙船試験機を打ち上げ

5日、米南東部フロリダ州のケープカナベラル空軍基地で、打ち上げられる米航空宇宙局(NASA)の次世代宇宙船「オリオン」の無人試験機=NASAテレビより(EPA=時事)

 米航空宇宙局(NASA)は5日午前7時5分(日本時間同日午後9時5分)、次世代宇宙船「オリオン」の無人試験機を南東部フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から初めて打ち上げた。2030年代の火星有人探査を目指し、各種性能を確かめる。

 約4時間半の飛行で地球を2度回る。国際宇宙ステーション(ISS)の十数倍の高度約5800キロまで上昇し、米西海岸カリフォルニア州沖の太平洋に着水。米海軍の艦船が回収する。

 試験機には温度や揺れなどを感知する約1200のセンサーを搭載した。放射線や時速約3万2000キロに達する帰還時の高熱が機体や機器に及ぼす影響を調べる。打ち上げは当初4日の予定だったが、ロケットの燃料弁不調で延期された。

 スペースシャトルの飛行高度やISSが周回している地球低軌道を超える任務を帯びた有人宇宙船の開発は、月面着陸を果たした1960~70年代のアポロ計画以来となる。

 しかし、火星着陸技術の確立や強力な次世代ロケットの開発など越えなければならないハードルも多い。将来にわたる財政面の裏付けも不透明で、確固とした見通しは立っていないのが実情だ。(ワシントン時事)