次世代宇宙船「オリオン」の試験機、初飛行へ


NASA、火星有人探査を見据えて本格始動

次世代宇宙船「オリオン」の試験機、初飛行へ

米航空宇宙局(NASA)の次世代宇宙船「オリオン」の乗員モジュール=9月、フロリダ州ケネディ宇宙センター(EPA=時事)

 2030年代の火星有人探査を見据えた米航空宇宙局(NASA)の次世代宇宙船「オリオン」の試験機が12月4日、初の宇宙飛行に無人で臨む。火星や小惑星も視野に、未到の地を目指す米国の新たな有人宇宙探査計画が本格始動する。

 NASAのボールデン局長は初の試験飛行について「戦略上重大な意味を持ち、火星への道のりで大きな前進となる」と話した。4~6人乗りのオリオンの乗員モジュールは横から見ると台形で、底面の直径は約5メートル、重量8・6トン。大型のデルタ・ロケットも含めた打ち上げ時の総重量は740トンに上る。

 天候などの条件が整えば、米東部時間12月4日朝(日本時間同日夜)にフロリダ州ケープカナベラルから打ち上げる。約4時間半に及ぶ試験飛行で地球を2度周回。最高高度は約5800キロに達する。

 国際宇宙ステーション(ISS)の高度(約420キロ)よりはるかに高く打ち上げ、帰還時の速度を上げて機体の断熱性能を試す。大気圏再突入の際は、機体表面の温度が約2200度近くになるという。

 オリオンは複数のパラシュートで段階的に減速しながら、打ち上げ場所の米東海岸とは反対側の西海岸カリフォルニア州沖の太平洋に着水する。その後、米海軍の艦船が回収する。

 NASAは火星有人探査の前に、20年代には宇宙飛行士を小惑星へ送り、各種サンプルを持ち帰る探査も計画。こうした任務のため、次世代ロケットの開発も進めている。(ワシントン時事)