川口淳一郎教授「フィラエの着陸は奇跡的」
トラブル克服した欧州の彗星探査機、「はやぶさ2」ロボット期待
欧州宇宙機関(ESA)の小型探査機フィラエが史上初めて彗星(すいせい)への着陸探査に成功したことについて、小惑星探査機はやぶさのプロジェクトを率いた宇宙航空研究開発機構の川口淳一郎教授は18日までに、「フィラエは着陸用機器が少なく、運動機能は非常に制限されていたので、着陸できるか疑問に思っていた。成功したのは奇跡的で素晴らしい」と語った。
はやぶさは2005年に小惑星イトカワに着陸し、当初計画した弾丸発射による岩石採取には失敗したが、着陸時に砂粒が採取筒に入り、世界で初めて小惑星の砂粒を地球に回収できた。はやぶさはまず着陸地の目印となるボールを投下し、機体の姿勢をガス噴射で保ちながら高度を下げる複雑な制御をした。
これに対し、フィラエは彗星の地面に着陸した際、くいを打ち込むと同時にバウンドを抑えるガス噴射を行う単純な方式。実際にはどちらも作動せず、約2時間、距離約1キロに及ぶ大きなバウンドを経て崖近くの陰に落ち着いた。
川口教授は「(フィラエの開発チームは)彗星の重力圏から脱出さえしなければよいと思ったのだろう。私たちははやぶさが成功したから冷静でいられるが、そうでなかったら羨望(せんぼう)のまなざしで見ていた」と話した。
フィラエは初期2日半に計画した探査をほぼ完了した後、太陽電池に太陽が当たる時間が短いためバッテリーが切れ、休眠状態となった。しかし、「彗星が今後太陽に近づけば、太陽光が強くなって充電でき、復活する可能性はある」という。
はやぶさは、イトカワの地表を自力で移動できる小型探査ロボット「ミネルバ」も搭載していたが、放出に失敗した。今月末に打ち上げられるはやぶさ2は後継機「ミネルバ2」を搭載しており、川口教授は「すごく期待している。今度は時間的な余裕があるので、うまく放出できると思う」と話した。