台風18号が過ぎ去った後、岩手県大船渡市の…


 台風18号が過ぎ去った後、岩手県大船渡市の魚市場では、湾内に退避していたサンマ船がまとまった水揚げを行った。北海道、宮城、福島のサンマ船4隻で、合わせて212㌧。市場は活気づいた。

 現在、サンマ漁はロシア海域、北海道根室沖、青森県八戸沖などで行われている。彼らは餌となる動物性プランクトンを食べながら移動し、海水温が低下するにしたがって三陸沖へと南下していく。

 サンマは季節感の強い魚で、旬は秋。8月にはまだ脂が乗っていないので、塩焼きよりも刺身や醤油をベースにした煮付けがよいとされる。脂が乗りすぎたものは、酢じめにするとさっぱりする。

 スーパーに行ってみると、大きなサンマが1匹125円。家族の分を袋に入れて手に乗せると、むっちりとした感触が伝わってくる。隣には3分の1に切ったダイコンまで売られていた。

 買ってきたサンマを塩焼きにするため、うろこを取ろうとしたが、ない。あったはずだがと思って、後で医学博士の成瀬宇平さんの著書『魚料理のサイエンス』(新潮文庫)を開くと、謎が解けた。集魚灯を使った棒受網漁法で大量に獲るので網の中で取れてしまうという。

 内臓も美味しいのだが、うろこがたくさんあり、食べると不快感が広がる。成瀬さんによると、網の中ではがれてサンマの口に入り、消化管にたまったものだ。「炎浴び秋刀魚の眼座りけり」(伊牟田盱)