NHK朝の連続テレビ小説で「蛍の光」が…
NHK朝の連続テレビ小説で「蛍の光」が流れていた。日本では別れの歌として知られるが、もともとは1794年、古くから伝わるスコットランド民謡に詞をつけたもののようだ。英国、米国でも送別歌として親しまれた。日本で歌われるようになったのは明治14年以後。小学唱歌に採用されて以来のこととされる。
130年以上も前の作詞だから、とにかく難解だ。この歌は4番からなるが、2番末尾の「さきくとばかりうたうなり」の「さきく」が分からない。
調べたところ、漢字で書くと「幸く」。『万葉集』などで使われる古語で「幸いであれ」の意味だ。別れるのだから「幸く」は了解できる。
1番末尾の「あけてぞけさはわかれゆく」について、元東大総長の蓮實重彦氏は子供のころ、「戸を開けて」はともかく、別れて行く「ぞけさ」なるものの実体が分からなかったという。「開けてぞ今朝は」が正解と分かるまで相当の時間がかかったとの話だ。
1、2番はともかく、3、4番は今はほとんど歌われない。4番冒頭は「千島の奥も沖縄も」だ。「日本の領土をしっかり守らなくては」という趣旨で、古いと受け止められるのだろう。だが、領土への関心を高めるためにも歌う機会を増やしたい。
紅白歌合戦の最後に「蛍の光」が歌われるのも、その年との別れを告げるのにふさわしいと考えられているためだろう。これはこれで納得だ。