「南瓜(かぼちゃ)煮てこれも佛に供へけり」…
「南瓜(かぼちゃ)煮てこれも佛に供へけり」(高浜虚子)。カボチャは、この時期によく食べられる食材だろう。気流子の子供時代、おやつ代わりに甘く煮たカボチャをよく食べた思い出がある。
カボチャは大きいので煮物は多量に出てくる。このため、しまいには飽きてしまって、それほどありがたみがなくなったことを覚えている。その味について認識を新たにしたのは、カボチャを使ったスープやスイーツを食べるようになってからである。
日本ではありふれているが、渡来した食べ物。カボチャという名前は「カンボジア」の転訛(てんか)という説やポルトガル語が由来という説がある。どうやら、後者が正しいようだ。
カボチャは「南京(なんきん)」や「唐茄子(なす)」などと呼ばれることもある。面白いのは、その中身をくり抜いて目、鼻、口をつけ、内側にロウソクを立てて「ハロウィン」の祭りに使われることである。
この祭りは、ヨーロッパ文明の基層にあった古代ケルト人の習俗に由来するとされている。基本的には、秋の収穫を祝い、悪霊などを払う宗教行事だった。現代ではキリスト教の影響もあり、米国では民間行事のようになっている。
その点では、日本に定着したクリスマスのような性質を帯びている祭りと言っていいようだ。先祖祭祀(さいし)である日本のお盆と似た面もある。お盆の期間、カボチャも供えられたり、食べたりした記憶がある。たかがカボチャ、されどカボチャである。