広島にはマツダなどが本社を置き、大企業の…


 広島にはマツダなどが本社を置き、大企業の支社も多い。人口は1960年代には50万人、80年代には100万人を突破。それに対応し、山裾を切り開き宅地が造成されていった。

 多数の死者・行方不明者を出した今回の土砂災害で被害のあった同市安佐南区もその地域の一つ。深夜の驚異的な雨量が大災害を引き起こしたことは間違いない。しかし、十分な対策を講じていなかった行政の責任は大きい。

 この地域は本来、土砂災害防止法に基づいて特別警戒区域に指定されるべきであった。しかし、同市では住民の合意が得られないなどの理由で指定が進んでいなかった。それでも日頃から住民に注意を喚起し、避難計画を策定するなどしていれば被害をずっと抑制できたのではないか。

 同法は1999年の広島豪雨災害を受けて制定されたものだ。広島市は革新市政が続いてきたが、身近なところで住民の生命と暮らしを守る積極的な行政が遂行されていたのか、疑問に思う。

 広島県は「土砂災害危険箇所」が全国最多で、3万以上に上る。だが、この中で警戒区域や特別警戒区域に指定されているのは約3分の1にとどまる。過去の教訓を生かし、防災に努めなければならない。

 地球温暖化の影響などで、今回のような豪雨は増える傾向にある。土砂災害だけでなく、河川の氾濫などにも警戒を要する。実効性のある河川管理の在り方が問われている。