「金目」という単語を新聞の活字やテレビの…
「金目」という単語を新聞の活字やテレビの字幕で見た時、「金目(きんめ)」と一瞬誤解した。あのおいしい金目鯛のことを思い出したのだ。が、実際はそんな話ではなく、「かねめ」と読むのが正解だった。
「金目(かねめ)」は「金目の物」というように金銭的に価値のあるものという意味で使われることが多い。が、国語辞典を見ると、もう一つ「お金の問題」という意味もあった。
石原伸晃環境相の発言は、そちらの方だった。できれば回避したい施設を国や自治体の意向で建設する際、金銭的補償が全くないとは考えにくい。「最後は補償の問題」という発想自体は普通の話だ。
が、このようなケースでは内容と同時に「言い方」が大事になる。微妙な問題の場合、内容以上に「言い方」が大きな比重を占めることもある。「言い方なぞどうでもいい」というわけにはいかない。
「金目」というと、泥棒が室内を物色するようなイメージがある。今回の発言とは全く無関係なのだが、言葉は同じだ。そんなこんなで、騒動になったのだろう。
立ち話でうっかり出た言葉を利用するチャンスを虎視眈々と狙っている者がいることを忘れてはならない。こうした事例は最近多い。本音より建前が重視される時代になった。「口当たりの悪いことは言わない」と考える政治家も増えた。が、今回のケースはともかく、政治家が建前論を繰り返す風潮が好ましいとは到底思えない。