国土地理院、巨大地震の規模を3分で自動推定
新システムの試験を始める、津波警報の活用に期待
巨大地震が発生した際、地震の規模(マグニチュード=M)を3分程度で自動推定する新システムを国土地理院が全国を対象に整備し、来年度以降の本格運用に向け試験を始めた。東北大地震・噴火予知研究観測センターの太田雄策准教授らとの共同研究で、全地球測位システム(GPS)などを使う各地の電子基準点の変動(GEONETデータ)を素早く解析し、地震の断層モデルを想定して規模を推定する技術を開発した。
気象庁気象研究所と活用法を検討しており、同院の宮川康平地震調査官は「津波警報などに活用してもらえるよう、信頼度や精度を確保していきたい」と話している。技術的な詳細は横浜市で開催中の日本地球惑星科学連合大会で5月1日に報告される。
「REGARD(リガード)」と名付けられた新システムは、電子基準点の変動の差か気象庁の緊急地震速報によって巨大地震の発生を検知。発生場所により、北海道稚内市、石川県小松市、長崎県五島市のいずれかの地点を基準として各基準点の動きを計算し、1枚の四角い断層が動いたと想定して規模を推定する。
東日本大震災とその最大余震を基にシミュレーションしたところ、3分程度でほぼ正確に推定できた。しかし、南海トラフ沿いの大地震は1枚の四角い断層の想定が難しく、断層面を固定して滑り具合の分布を想定する方法を検討する。また、米国のGPS衛星群に加え、ロシアのグロナス衛星群なども利用して精度を向上させる。