レアルが前回覇者バイエルン下し、欧州ＣＬ決勝へ

バイエルン・ミュンヘン戦でゴールを決め喜ぶレアル・マドリードのロナルド（左）＝２９日、ミュンヘン（ＥＰＡ＝時事）

　堅実に守って速攻に転じ、ゴールを重ねた。レアルが敵地で王者バイエルンから４点を奪い、２試合で５発を浴びせて決勝へ。ボールを６割以上保持されてもむしろ優位に戦い、屈指の攻撃陣による精度の高いカウンターで強みを生かした。

　先勝した第１戦の戦い方を曲げず、バイエルンにボールを預けて泳がせ、機を見て敵陣に空いたスペースを脅かした。前半１６分に速攻から得たＣＫをセルヒオラモスが頭で合わせ、４分後にＦＫから２点目。アンチェロッティ監督が「セットプレーでは遠いサイドの守りに問題がある」と分析した相手の弱点を突き、勝負はほぼ決した。

　先制点につながったＣＫはロナルドとベンゼマが素早く走った速攻から獲得。２点目のＦＫはベイルが縦への突破を仕掛けて相手の反則を誘った。いずれも敵の背後を突く武器を持つ前線の３人が絡み、レアルの象徴といえる攻撃。前半３４分にロナルドが決めた３点目も鋭いカウンターからで、攻めには一貫性があった。

　今季就任したアンチェロッティ監督は一時、パスサッカーも志向したが、選手の特長を最大限に生かすため戦術を柔軟に修正した。かつてＡＣミラン（イタリア）をＣＬ制覇に２度導いた知将は「私の監督人生で最高の試合とは言いがたい」と、まだ表情を緩めない。レアルにとって悲願の１０度目制覇をもたらす大きな使命が残っている。（ミュンヘン時事）