韓国で「韓流」の中国進出に期待感が高まる


「韓流」テレビドラマが中国で大人気

韓国で「韓流」の中国進出に期待感が高まる

韓国SBSテレビで放映されたドラマ「星から来たあなた」に出演した俳優たち=2013年12月、ソウル(EPA=時事)

 最近韓国で放送されたテレビドラマが中国で大人気となり、韓国で「韓流」の中国進出拡大への期待感が高まっている。日本での韓流ブームは日韓関係悪化の影響で退潮傾向。韓国には中国を新たな市場に育てたい思惑がある。

 2013年12月~14年2月に韓国SBSテレビで放映されたドラマ「星から来たあなた」は、李氏朝鮮時代に住み着き、現代まで生き続ける異星人が人気女優と恋に落ちる奇想天外なストーリーで、韓国を代表する人気俳優が主演。韓国で高視聴率を記録したが、中国でも、インターネットでの動画閲覧数が30億件を突破した。

 韓国メディアは競ってこれを伝え、中国序列6位の王岐山・共産党中央規律検査委書記が5日、このドラマの人気に触れながら、「韓国に負けるな」と奮起を促した発言も大きく報道。かつての日本のような韓流ブーム再来かと報じる記事もあった。

 韓国コンテンツ振興院の統計によると、12年の放送分野の中国への輸出額は約1300万ドル(約13億円)で、日本へは約1億1000万ドル(約110億円)。しかし、日本では、韓国ドラマの放映が相次いで打ち切りになるなど韓流ブームは下火になりつつある。対照的に中国では昨年、韓国のバラエティー番組に着想を得た番組が人気を博すなど「韓流」は拡大傾向にあり、市場の潜在力も大きい。

 ソウル大の朴南奎教授は「韓国の映画・ドラマの制作陣に海外留学組が増え、ストーリーが多様化して質が向上している。海外での成功率は上昇するだろう」と楽観的だ。一方で、今回の成功は作品自体の魅力による部分も大きい。中国ではテレビ放送の審査が厳しく、ドラマ輸出はインターネットが主。海賊版が横行している上、当局によるネット規制強化も懸念され、進出拡大に慎重な見方もある。(ソウル時事)