新型コロナウイルス禍で巣ごもり状態。…
新型コロナウイルス禍で巣ごもり状態。運動不足解消に地域の体育施設でピンポンの一つもしたいという人がいるだろう。しかし、気の合った仲間でもいなければ足はなかなか向かない。
スポーツ庁の「平成30年度体育・スポーツ施設現況調査」によると、全国の体育館、多目的運動場、屋外水泳プールなどの数は、この16年の間に23・2%も減少している。政府は今世紀初め、地域再生を目指して「居場所再生事業」を実施し、公共のスポーツ施設数を増やしたが、その後減ってきているのだ。
一方、海外に目を向けると、地域のスポーツ活動で一日の長がある欧州。既に19世紀後半、余暇にスポーツをしていた英国では、市営のスポーツセンターが各所にあり、レジャー施設並みの手軽さで利用されている。
スポーツの競技だけでなく、住民参加型の文化・芸術活動を支える展示施設なども兼ねた形だ。ボランティアが運営をバックアップし、住民の社交の場、青少年の社会教育場にもなっているという。
ドイツでは、スポーツクラブは登録制で8万以上ある。会則に「クラブは公益法人」「会員はボランティアとして働く」などと記され、地域に奉仕する団体の位置付けだ。
わが国ではアフターコロナをにらんだ「働き方改革」論議は盛んだが、コロナ禍を奇貨として「地域社会の再生」を目指す機運は残念ながらあまり見られない。難しい課題ではあるが、地域の疲弊に政治は防戦一方だ。