大相撲春場所(東京・両国国技館)千秋楽の…
大相撲春場所(東京・両国国技館)千秋楽の貴景勝戦まで終盤3日間、3大関を総ナメにして3度目の賜杯(12勝3敗)に輝き、21場所ぶりの大関復帰を確実にした関脇照ノ富士。史上最大の前例なき復活劇を見せてくれた。
両膝のけがと糖尿病で14場所維持した大関から2017年九州場所で関脇に陥落。5場所連続の休場も経験した。何度も辞めたい思いを踏みとどまり、復活劇スタートは序二段から。
再入幕した昨年7月場所で、初優勝から30場所ぶりの復活幕尻Vも感動を呼んだ。そして今場所である。辛苦の道のりを知っている観客の万雷の拍手に表情を緩め、自然と軽妙な掛け合いとなった優勝インタビューに館内は和んだ。
「優勝は意識してなかったが、最後はしてしまった」。優勝を懸けた一番が狙い通りだったかの問いには「相撲って狙い通りにならないもので」と答えると館内に笑いがこぼれた。そして「できることを精いっぱいやるだけ。必死に頑張った結果が出る日が来ると信じてやってきた」ことが報われたとも。
「皆さんの応援のおかげで元の位置(大関)に戻ることができた。土俵で一生懸命に戦っているのを見せるのが恩返しだと思う。いい姿を見せられてほっとしている」という言葉には、どん底からはい上がってきた29歳の諦めない心構えと努力の手本が実感として伝わってくる。
復活劇はこれで幕ではない。この先もさらに続くのを楽しみにしたい。