新型コロナウイルスのワクチン接種が高齢者…
新型コロナウイルスのワクチン接種が高齢者向けに4月にも始まるが、集団接種を想定した規模の初の訓練が川崎市の市立看護短期大学の体育館で行われた。
「接種希望者役」約20人を含め医師や看護師ら計約60人が参加し、緊張した雰囲気が会場に漂った。一連の流れの実演で「接種直前の問診が長引くのではないか」との問題点も明らかになった。
1977年から10年ほどの間、全国の小中学校でインフルエンザワクチンの集団接種が義務付けられ、大半の子供が接種を受けていた時期があった。地方の小学校でも、子供たちが講堂で長い列をつくり整然と接種を受けていた光景を思い出す。
その時と今回の違いを言えば、集団接種への安心、信頼感の差だろう。当時、国の推奨に十分信が置かれ、これをすれば病気にかからないんだという親の思いや願いが子に伝わってスムーズに実施された。
今回は副反応のことをかなり気にしながらだ。その確率は小さいが、問診の時間が相当かかりそうなのはこうした懸念があるせいだ。「問診の前に相談時間が必要だ」という声が訓練参加者たちからも出ている。善処が必要だと思われるが、準備の期間はそれほど長くない。
ところがワクチン接種の時が迫るのに、今のところ政府の強い推奨の声、接種後の対策、展望などについてはあまり聞こえてこない。これでは不安だ。ワクチン接種に関する国民へのメッセージをしっかり伝えるべきだ。